研究概要 |
低酸素症は,自律神経系活性,および線条体Dopamine動態に影響を与える.しかし,全身麻酔下で低酸素症が生じた場合,これらにどのように影響するかは不明な点が多い,また,高血圧患者においては健常な患者に比べ,全身麻酔あるいは低酸素負荷において循環動態の変化の違いが予想され,自律神経系活性や脳内ホルモンの変化も異なることが考えられる. 本研究では,高血圧自然発症ラット(SHR)を用い,吸入麻酔薬あるいは静脈内麻酔薬での全身麻酔において,急性の低酸素症が自律神経系活性と線条体DA動態に及ぼす影響を血圧,心拍数を測定,解析を行い,得られた自律神経系活性と線条体ドーパミン量(DA)を検討することを目的としている. 平成18年度には,SHRを対象とし,吸入酸素濃度21%の定常期,吸入酸素濃度21%から10%への下降期吸入酸素濃度10%の低酸素維持期,吸入酸素濃度10%から21%までの上昇期,低酸素負荷後の吸入酸素21%の回復期で,それぞれ収縮期血圧,心拍数,DAを測定した. 収縮期血庄は,低酸素負荷を与えても大きな変化は見られなかったが,心拍数は上昇が認められ,現在,得られた収縮期血圧,及び心拍数から,自律神経系活性の解析を行っている. また,DAは下降期では変化が認められなかったが,維持期および,上昇期において増加が認められた.DAの増加は回復期に徐々に少なくなり定常期への値へ近づいた. 平成19年度には,吸入麻酔薬(セボフルラン,イソフルラン)および静脈内麻酔薬(プロポフォール)による全身麻酔下低酸素負荷時での自律神経活性の変化およびDAの変化について測定,解析し検討を行う予定である.
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