研究概要 |
再構築した機能的な再構築唾液腺組織を宿主に移植する最適条件を検討した。 マウスの唾液腺組織から、各種の成長因子を添加した低Ca(0.2mM)無血清培地を用いて、唾液腺上皮細胞のみを抽出した。その細胞はCa濃度変化や種々の成長因子の刺激により管様構造を示し、機能的には唾液アミラーゼ遺伝子発現(Northern blot法)や蛋白量(免疫組織染色、ELISA法、Western blot法)の増加を示した。 1,移植手術法の検討 その再構築した唾液腺組織をマウス体内に移植後も機能を持続する移植法を確立するため、部位(顎下腺、耳下腺、口腔粘膜下結合組織)、Ca濃度(0.2mM or 1.0mM)、細胞増殖因子(EGF、HGF、FGF family)、形態形成因子(TGF-β、Shh)、細胞外基質(I・IV型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン)、3次元構築の支持基質として、臨床使用されているテルダーミス[○!R](人工真皮欠損用グラフト)を用いる等の条件下で比較を行い、最良な移植条件を検索した。 2,移植後の機能、形態的評価 移植再構築唾液腺組織と固有唾液腺の形態変化を組織学的に観察した。また、両者の細胞内小器官(粗面小胞体、ゴルジ装置、分泌顆粒など)を透過型電子顕微鏡を用いて、その超微形態を観察した。唾液アミラーゼを指標とし、遺伝子レベル(RT-PCR法、Northern blot法、インサイチュハイブリダイゼーション法)、蛋白レベル(免疫組織染色、Western blot法)で、その発現を観察した。 3,移植による副作用の検討 再構築唾液腺組織は自己由来の組織であり、一般に他家移植で問題となる拒絶反応の可能性は低いと考えられた。しかし、予測不能な部分も考慮する必要が有り、移植部の局所所見や全身状態を観察する必要がある。
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