研究概要 |
ヒトHSP90にはいくつかの点突然変異が報告されている.そのうちHSP90αアイソフォームで報告されている488番目のグルタミンがヒスチジンに置換したケースでは,酵母発現系を用いた実験によって,変異型HSP90が機能しえないと報告されている.しかしそのメカニズムは不明である.そこでこの変異がHSP90のどの機能を変化させるのかを検討した.バクテリア2-ハイブリッドシステムを用いて、この置換がヒトHSP90αのダイマー形成に及ぼす影響を検討した。HSP90αのミドル〜C末ドメイン内のGln488His置換体では、HSP90αのダイマー形成能の低下が認められ、この部位のアミノ酸変異がダイマー形成に寄与している可能性が示唆された。従来HSP90はダイマーで機能すると考えられてきたが,今回の発見は実際にダイマー形成能の低下が実際にHSP90機能に直接影響することを示している.しかしながら、このダイマー形成能の低下の理由として、発現した変異タンパク質の構造変化のために溶解度が低下し,その結果,ダイマー濃度が低くなっている可能性も残っているために、現在、さらに検討中である。 舌下腺に発生した高悪性と考えられる乳頭状嚢腺癌について、文献的に考察を行い、論文として発表し掲載予定となっている。唾液腺導の管上皮より発生する導管内乳頭腫瘍についても、免疫組織学的ならびに文献的に考察し学会発表を行い、論文としても発表し掲載予定となっている。また、下顎歯肉の腺様扁平上皮癌と食道扁平上皮癌の同時異性重複癌のきわめて稀な症例について臨床的ならびに病理組織学的および文献的に検討し論文として発表し掲載予定となっている。また、過去15年間の顎矯正手術の臨床統計的検討を行い文献的検討を加えて、論文として発表した。
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