研究課題
我々はヒト末梢血由来の樹状細胞(DC)に対し、ファイバーRGD型アデノウイルスベクターを用いてヒトCD40リガンド遺伝子導入を行い、DCが成熟化にともなう形質変化により成熟化マーカーであるCD80、CD83、CD86、CD54、HLA-classIIの発現を増強すること、そしてこの成熟化したDCが口腔癌細胞OSC-70に対して増殖抑制効果を示し、さらにOSC-70細胞上のHLA-class I、 HLA-class II、 ICAM-1、TRAIL-R2、Fasの発現を増強することを確認した。そしてこれらの効果がDCと腫瘍細胞の接着を介さずに、DCから産生されるIFN-γによる効果であることを確認した。これらの研究結果をふまえ、この成熟化したDCから産生される液性因子による効果的な抗腫瘍効果を導く方法を開発するために、CD40リガンド遺伝子導入により成熟化したDCによるNK細胞の活性化について解析を行い、以下に記す結果を示した。CD40L遺伝子導入をしたDCと共培養したヒト末梢血由来のNK細胞は、(1)細胞表面上のTRAILの発現を増強した。(2)IFN-γの産生を増強した。(3)産生したIFN-γにより腫瘍細胞を刺激し、腫瘍細胞のTRAILに対する感受性の増強とTRAIL受容体(DR5)の発現を増強させた。(4)腫瘍細胞に対してTRAIL-TRAIL受容体を介した細胞傷害活性を増強させた。そしてこれらの効果はコントロールとして用いたlacZ遺伝子を導入した樹状細胞と培養したNK細胞では認められなかった。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件)
International journal of cancer Vol120, No 7
ページ: 1491-1498