昨年に引き続き、本研究の主旨を理解し本研究参加への文書による同意が得られたASA分類PS1の健康成人ボランティアを対象に、実際に現在の歯科臨床において行われているプロポフォールを用いた静脈内鎮静法を実施し、BIS値50台後半〜60台後半を目標鎮静深度として実験的静脈内鎮静法を研究ボランティアに対し行い、鎮静深度が深くなった結果生ずる舌根沈下状態・呼吸抑制の改善が、Nasal CPAP装置の術中併用により為されるか否かについて検討した。静脈内鎮静法により人為的に創出された舌根沈下状態・呼吸抑制は、奇異呼吸発現の有無や術中観察しているSpO_2値に反映されるが、本年継続した研究結果においてもNasal CPAP装置の併用は明らかに舌根沈下状態・呼吸抑制の改善をもたらす結果を示した。平成18年度から20年度にかけて実施してきた本研究結果から、鎮静管理に付随して発生した奇異呼吸の解消や低下していたSpO_2値の95%以上への回復が実証され、また、Nasal CPAP装置の併用・作動が鎮静状態を阻害しないことが確認された. よって、Nasal CPAP装置の併用が静脈内鎮静法実施下に生ずる舌根沈下や呼吸抑制状態の改善に寄与し、歯科診療時における安全な静脈内鎮静法の実施に貢献する明らかな可能性が示された。 今後は、実際の臨床に本法を応用し、その効果と臨床上の問題点が存在するとすればそれを抽出し、その解決策を検討する予定である。
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