平成18年度 ブラキシズムやクレンチングなどの日常生活悪習癖は、顎関節症の発症の最も重要な因子であり、これら顎関節に加わるメカニカルストレスが顎関節内または、関節周囲組織で虚血再灌流障害を導き、フリーラジカルを産生させ炎症を誘発すると示唆されている。平成18年度の研究として、TNF-αにより顎関節炎症を誘発させた動物実験モデルラット顎関節に過剰なメカニカルストレスとして関節部に垂直的な強制過剰交合を断続的に85分間加え、確実に顎関節周囲組織への虚血再灌流状態把握するために非接触型血流測定器により血流状態を確認した。その後、4分以内にフリーラジカルのスピンプローブ剤であるC-PROXYL(140mM)をラット尾静脈に注射し1分後(再灌流状態から5分後)にL-band ESRによりラット顎関節周囲のフリーラジルの存在を生体内ラジカルの電子喪失率(減衰率)により評価を行った結果。顎関節に生理食塩水を加えたコントロール群とTNF-α誘導顎関節炎群において、いずれも過剰なメカニカルストレスを加えることによりC-PROXYLの減衰率は減弱を示し。Control群の減衰率の差はY=-0.01238Xであり、顎関節炎群での減衰率の差はY=-0.0524Xと示され、いずれも減衰率は減弱され、顎関節に長時間ストレスを加えることによりフリーラジカルの産生は逆に抑制される傾向が示された。これ実験結果から、顎関節内にはフリーラジカルに対する生体の防御反応機構が存在する可能性が強く示唆された。 顎関節症患者滑液の研究として、顎関節症患者で繰り返しパンピングマニプレーション療法を施術し、得られた滑液中のHO^・(hydroxyl radical)をスピントラップ剤としてDMPOを用いたX-band ESR法にて測定し、さらに電極法によるNO^・の濃度を比較した結果、顎関節の臨床症状の軽快に伴い滑液中のNO^・の濃度が上昇する結果が得られた。
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