研究概要 |
平成19年度 ブラキシズムやクレンチングなどの日常生活悪習癖は、顎関節症の発症の最も重要な因子であり、これら顎関節に加わるメカニカルストレスが顎関節内または、関節周囲組織で虚血再灌流障害を導き、フリーラジカルを産生させ炎症を誘発すると示唆されている。 平成18年度の研究として、L-band ESR(invivo ESR)を用いた,顎関節炎モデルラットの長時間強制過剰交合による虚血再還流実験ではC-PROXYLの減弱高進は認められず結果としてフリーラジカルの抑制もしくはredox制御が働いた可能性が示唆された。今年度の研究として,短時間の強制過剰交合(駆血血管の解除に伴い血液量が増加する反応を非接触型ドッツプラレーザーを用いて計測)による虚血再還流実験では,C-PROXYLの減弱高進は認められず,虚血再還流を加えることにより関節周囲組織のフリーラジカルは明らかに抑制される事となった。 これ実験結果から、顎関節内にはフリーラジカルに対する生体の防御反応機構として,酸素由来のラジカルが窒素に由来するNOもしくはH_2O_2等により安定なラジカルに変化しESRによる電子損失が確認されない可能性,もしくは血管平滑筋に作用される可能性が強く示唆された。 顎関節症患者滑液の研究として、顎関節症患者で繰り返しパンピングマニプレーション療法を施術し、得られた滑液中のHO'(hydroxyl radical)をスピントラップ剤としてDMPOを用いたX-band ESR法にて測定し、さらに電極法によるNO'の濃度を比較した結果、顎関節の臨床症状の軽快に伴い滑濠中のNO・の濃度が上昇する結果が得られ,さらに多くの症例を試みる計画となっている。
|