研究概要 |
これまでの我々の成果よりオトガイ舌骨筋に関する一連の研究を行い、オトガイ舌骨筋は舌下神経本幹を経由する体性神経系と頸神経ワナを経由する副交感神経系によって二重神経支配されていることを明らかにした。その結果として、この副交感神経系によってオトガイ舌骨筋の伸張が調節されることにより舌骨の制御が行われている可能性が示唆された(Exp.Brain.Res.2003)。 本研究では、副交感神経がオトガイ舌骨筋を支配する確証を得ることを目的とし電気生理学的検討を行った。 <電気生理学的検討> 実験にはWister系ラットを用いた。塩酸ケタミンの腹腔内投与を行い、保温パッド上でラットを仰臥位に固定し下顎前歯を利用してクランプによって下顎を固定した。手術用顕微鏡下で下顎骨内側から鎖骨に至る皮膚切開を加え、舌下神経本幹と頸神経ワナ、オトガイ舌骨筋、オトガイ舌骨筋枝を明示し、頸神経ワナと舌下神経本幹からオトガイ舌骨筋を一塊として摘出し、酸素飽和人工脊髄液(NaCl 120mM,MgSO_4 2.0mM,KCl 3.0mM,NaH_2PO_4 125mM,MaHCO_3 26.0mM,CaCl_2 1.0mM,glucose 20.0mM)を環流したrecording chamber内に固定し、オトガイ舌骨筋に微小ガラス管を刺入し筋放電を導出し、副交感神経節後ニューロンの神経放電と筋放電との同期を証明するためrecording chamber内に以下の薬剤をそれぞれbath applicationし解析を行った。 (1)Mecamylamine(Nicotinic acetylcholine receptor) (2)Pirenzepine(Muscarinic M1 receptor) 結果、各薬剤投与後に神経放電の現象傾向が認められた。現在、神経放電の発現頻度について解析中である。
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