舌下神経核には、呼吸リズムに同期して活動するニューロン(呼吸性オトガイ舌筋ニューロン)と嚥下時に活動するニューロン(嚥下性オトガイ舌筋ニューロン)が存在する。申請者らは呼吸性オトガイ舌筋ニューロンの局在領域を詳細にmappingするとともに、その領域のサブスタンスP陽性軸索終末の分布量は生後7日がピークになっていることを報告した。現在、申請者らはこれらの研究成果をもとに、咀嚼運動に関わる三叉神経運動核およびその周囲におけるサブスタンスP濃度にも研究を発展させている。前年度には、呼吸性オトガイ舌筋ニューロンおよび嚥下性オトガイ舌筋ニューロン局在領域におけるサブスタンスP陽性終末の超微細構造について検討した結果、それぞれのオトガイ舌筋ニューロンとサブスタンスP陽性軸索終末とのシナプス接合が認められた。今年度は、三叉神経運動核およびその周囲におけるサブスタンスP陽性軸索終末の超微細構造について検討した。実験にはWistar系ラットを用いた。腹腔内投与による浸麻酔下で、灌流固定後、脳幹および上部脊髄を摘出しマイクロスライサーにて横断連続切片を作製した。Rabbit anti-substance P polyclonal antibodyを1次抗体とする一連の免疫組織化学染色を行った。光学顕微鏡下で舌下神経核の呼吸性オトガイ舌筋ニューロン局在領域と嚥下性オトガイ舌骨筋ニューロン局在領域をそれぞれ切り出し、オスミウムにて後固定した。エポン樹脂包埋後、ウルトラミクロトームで超薄切片を作製し、電子顕微鏡下で観察した。その結果、三叉神経運動核の背外側亜核(閉口筋領域)と腹内側亜核(開口筋領域)および三叉神経運動核周囲(咀嚼リズムジェネレーター局在域)のそれぞれで、サブスタンスP陽性軸索終末と運動ニューロンとの接合が認められた。
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