研究課題
近年、転写因子であるMSX1、PAX9の変異によって常染色体性優性に家族性に多数歯欠損が引き起こされることが報告され、その二つのタンパクが相互に結合することが申請者により明らかにされた。本課題は、Pax9とMsx1の二つのタンパクだけでなく、他の転写因子も含めた複合体によるBmp4の調節機構を明らかにすることで、多数歯欠損を引き起こす原因の解明を目的とした。平成18年度では、Pax9とMsx1が相互に結合し、Pax9を介してBmp4の発現を調節していることを明らかにした。平成19年度は、以下の結果を得た。(1)家族性に多数歯欠損を引き起こす原因となるPAX9のpaired domain内に変異をもつ6つのPax9タンパクを精製して、Msx1との相互結合の有無を解析したところ、Pax9変異タンパクはMsx1と相互結合した。(2)DNA-binding assayにより、変異がPaired domain内のN末端側にあるPax9変異タンパクはPax9に特異的なDNAシークエンスに結合することが出来なかったが、C末端側に変異を持つ変異Pax9タンパクはそのシークエンスに結合することが出来た。N末端側に変異を持つ場合、その表現系がより深刻なものとなる。以上より、Pax9とMsx1との相互結合にはPax9のpaired domainは必須ではない、またDNAとの結合の有無が表現系に影響を与える可能性が示唆された。さらに、Pax9と他の転写因子であるDlx2とが、reporter assayにより相互に作用しBmp4の発現を調節しているのではというpreliminaryな結果が得られている。今後、それら二つの転写因子の相互結合の有無、またMsx1との相互作用も検索する予定である。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
Angle Orthod. 77(5)
ページ: 931-939