研究概要 |
急速アパタイト転換型のリン酸カルシウムセメント(CPC)は,硬化時pHが上昇するが,硬化後HApに転換し中性となる特徴を有する。本研究の目的は,急速アパタイト転換型CPCの生活歯髄切断法への応用の可能性を検討することであり,現在までの実験(ラット皮下結合組織表面への試作急速アパタイト転換型CPCの貼付実験)で,本材が歯髄切断面に硬組織を誘導させるに必要なpH刺激を歯髄に及ぼす可能性があることがわかっている。今年度は,ラット歯髄に用いて28日後の状態を病理組織学的に検索した。 1、実施計画(ラット臼歯の生活歯髄切断部への試作急速アパタイト転換型CPCの貼付実験)について 実験材料は生後6〜8週齢SD系ラット(体重250 g前後)の雄,計12匹を用い,4群に分けた。実験歯は左右下顎の第一臼歯で各群6歯12根管とした。方法は,全身麻酔下で固定板上に固定し,簡易防湿下で実験部位を生活歯髄切断法(chemical surgery method)を臨床的術式に準じて行った。切断面に貼薬した薬剤は,Ca(0H)_2,α TCP(Ca/P比:1.5),2種の試作急速アパタイト転換型CPC(Ca/P比:1.7と2.0)を用いた。なお,α TCPはCaC0_3とNaHPO_4・2H_2Oで,Ca(OH)_2と両試作急速アパタイト転換型CPCは滅菌生理食塩水で練和した。最後に,グラスアイオノマーセメントにて仮封した。 2、実施計画(病理組織学的観察および統計学的検索)について 実験中で,固定された試料を,脱灰,脱水後,パラフィン包埋し,連続切片標本を作製している。
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