本研究では、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科外来を、睡眠中のいびき・無呼吸を主訴として来院した患児を対象に、問診、口腔内診査、身長・体重の測定、レントゲンによる診査を行った。また、耳鼻咽喉科の医師により重症度が高いと診断された患者や、保護者の訴えが強い患者には、携帯型睡眠時無呼吸モニタ(アプノモニターミニ)を持ち帰り患児に装着してもらい、夜間3日分の睡眠中のSPO2、鼻呼吸・呼吸音の有無の測定をおこなうか、もしくは検査入院をしてもらい、同測定を行った。 当初は風邪症状やアレルギーの発症の多い、冬から初春にかけての受診者数を多く見込んでいたが、今年度は暖冬であったためか、その時期のいびき・無呼吸が主訴の来院患者数は予想の約半数の56名であった。統計の結果の充実を図るために、平成12年度以降のデータも閲覧できる限り、資料として追加をした。 結果として、3歳児52名、4歳児49名、5歳児65名、6歳児53名の問診・カルテ記載データの収集が可能であった。全体では、女児30%に対し、男児は70%と多かった。いびきに伴う頻繁な無呼吸は全体の47%に認められた。全身の発育状態を示すKAUP指数はやせ37%、正常46%、肥満17%と、発育障害が一部の小児に示唆される結果であった。また、「日中の落ち着きのなさを感じる」親は全体の35%に認められた。また、「集中力の欠如を感じる」は21%で、いびき、無呼吸は小児の性格や学習能力になんらかの影響を与えている可能性が示唆された。来年度はデータを追加していき、さらなる知見を得たいと考える。 携帯用睡眠時無呼吸モニタによりデータ収集が可能であった患児12名分の計測結果は、分析を行い、19年度の研究の資料として用いる予定である。
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