小児の睡眠中の呼吸障害は、成長ホルモンの分泌量と密接な関係があり、直接的には小児の全の成長発育に、間接的には顎顔面領域の発育にも影響があるといわれている。そこで本研究では、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科外来を、睡眠中のいびき・無呼吸を主訴として来院した患児を対象に、問診、口腔内診査、身長・体重の測定、レントゲンによる診査を行った。また、耳鼻咽喉科の医師により重症度が高いと診断された患者や、保護者の訴えが強い患者には、携帯用睡眠時呼吸測定器(アプノモニターMIMI[○!R]:CHEST社)を持ち帰り患児に装着してもらい、夜間3日分の睡眠中のSPO2、鼻呼吸・呼吸音の有無の測定を行うか、もしくは検査入院をしてもらい、同測定を行った。 結果として、3歳児9名、4歳児9名、5歳児17名、6歳児10名、7歳児9名、8歳児4名、9歳以上の患児6名の計64名のレントゲン撮影(側貌および正貌頭部X線規格写真・オルソパントモグラフ)が可能であった。側貌頭部X規格写真上で硬組織、軟組織のトレースを行ったのち、矯正用解析ソフト(COA-III[○!R]歯科矯正分析用ソフト:ロッキーマウンテンモリタ)にて分析を行った。気道形態の計測では、健常児と比較すると、年齢ごとに気道の閉塞部位が異なることが示唆された。今後は、気道形態の計測顎顔面・気道形態の各測定項目と、問診より得られた臨床症状、身長・体重、携帯用睡眠時呼吸測定器にてSPO2、鼻呼吸・呼吸音の有無の測定が可能であった患者についてはその結果との相関を検討し、健常児との比較を行い、小児の睡眠中の呼吸障害が全身発育、顎顔面の発育に影響を及ぼすことを明らかにする。
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