神奈川歯科大学小児歯科外来に来院した小児50人(1〜14歳)の上下顎臼歯部より滅菌探針を用いてプラークを採取した。プラークは採取後、DNAの抽出まで-20℃にて保存した。プラーク細菌のDNA抽出には、ISOPLANTを用い、マニュアルに従って、DNAを抽出した。16S rRNA遺伝子の増幅には、Ashimotoらが報告した特異的プライマーを使用した。DNAの増幅は、95℃ 5分間加熱変性後、95℃ 30秒、60℃ 1分、72℃ 1分を35サイクルで行った。そして、PCR反応を終了したDNAとともにsmart ladderを分子量マーカーとして1.5%アガロースゲル電気泳動で分離し、0.5μg/mlのエチジウムブロマイドで、染色、脱色後、紫外線照射装置を用い、写真撮影を行って増幅DNA断片の検出を行った。 その結果、Porphyromonas gingivalisは50人中36人から検出され、検出率は72%であった。Treponema denticolaは50人中19人から検出され、検出率は38%であった。男女別に見ると、P.gingivalisは男児29人中20人(69%)、女児21人中16人(76.2%)から検出された。T.denticolaは男児29人中10人(34.5%)、女児21人中9人(42.9%)から検出された。歯列別にみると、乳歯列期では、8人中P.gingivalisが6人(75%)から検出されたが、T.denticolaは検出されなかった。混合歯列期では、36人中P.gingivalisが26人(72.2%)、T.denticolaが13人(36.1%)から検出された。永久歯列期では、6人中P.gingivalisが4人(66.7%)、T.denticolaが6人(100%)から検出された。T.denticolaは、乳歯列期では検出されなかったという興味ある知見が得られた。
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