本研究では、矯正学的歯の移動時における骨代謝の解明ならびに、骨代謝のコントロールによる歯の移動実験を行うこととした。研究成果として、"マウス"を用いた歯の移動実験法を確立し、現在までのところ一週間までの持続的矯正力の付与が可能となった。また、本研究では骨代謝の変化がより明らかに現れることを想定し、OPG-/-マウスを使用して実験を行っている。このOPG-/-マウスを用いることによって、Wild typeマウスに比較し歯の移動速度が大きく、移動3日後から歯根膜における破骨細胞数が上昇し、周囲歯槽骨の吸収が多く認められた。以上の結果から、破骨細胞の活性は、歯の移動において重要であり、骨芽細胞の活性化にも極めて重要な役割を担っていることが考えられた。また、周囲歯槽骨を維持するためにも破骨細胞の活性の制御は重要であることが考えられた。今後は、この破骨細胞の活性を抑制する薬剤を投与し、実験を継続していく予定である。
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