研究概要 |
平成13年11.月から平成15年3,月まで妊婦を対象にべースライン調査を実施した。1002名の妊婦がべースライン調査に参加した。生まれた子供の4ヶ月時の第一回追跡調査には867組の母子が参加した。1歳6ヶ月時第二回追跡調査には763組の母子が参加した。2歳6ヶ月時第三回追跡調査には586組の母子が参加した。3歳6ヶ月時第四回追跡調査では、生活習慣、生活環境、健康状況等に関する質問調査票、幼児用簡易版食事歴法質問調査票に加えて、歯科衛生士による口腔内観察を実施し、子の齲蝕の有無、母の齲蝕の有無及び歯肉の状態についての客観的なデータを得ている。また、唾液流出量(母のみ)や唾液の緩衝能(母子とも)の測定及び口腔内のミュータンス菌量を半定量的に測定(母子とも)している。500組の母子の参加を見込んでいる。平成18年11,月より4歳6ヶ月時第五回追跡調査を開始した。 平成18年度はべースライン調査のデータを活用して論文を執筆した。妊婦における1本以上の抜歯経験の有症率は25.5%であった。主要な結果として、マグネシウムの摂取量が多い程、抜歯経験の有症率が有意に低かった。カルシウム、リン、鉄、亜鉛、銅といった他のミネラル摂取と抜歯経験とは関連がなかった。また緑黄色野菜以外の野菜の摂取及び不溶性食物繊維の摂取と抜歯経験との間にも有意な負の関連を認めた。飲料と抜歯経験との関連に関する解析では、コーヒー摂取と抜歯経験との間には有意な正の関連を認めた。牛乳、緑茶、ウーロン茶、コーラ、ジュースの摂取と抜歯経験との間には関連を認めなかった。 今後、追跡調査のデータを活用し、乳歯齲蝕を結果因子として、受動喫煙、母乳栄養、ほ乳瓶の使用状況、フッ化物応用、母親の口腔衛生状況との関連についてまとめる。
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