研究概要 |
後頭部冷罨法が身体の自律神経活動,頭部深部温,胸部深部温,後頭部皮膚温,主観的な気分に与える影響を明らかにすることを目的として,平成19年度はデータの分析と学会発表を行った. 対象:健康な20歳代および50歳代の成人男性で,コントロール群(20歳代)5名,実験群A(20歳代)5名,実験群B(50歳代)5名とした.測定指標:(1)心拍変動,(2)頭部・胸部深部温,後頭部皮膚温,(3)POMS短縮版.実験方法:実験群には氷枕を貼用,コントロ-ル群は貼用せずに各測定指標のデータ収集を行った.分析方法:一元配置分散分析や多重比較を用い,時系列の変化を検討した. 結果および考察:(1)心拍変動 HFは3群とも上昇したが有意差は認められなかった.LF/HFでは実験群Aのみで冷却後6-10分と16-20分の間で有意差があった(P<0.05)ことから,20歳代の群では氷枕貼用後に交換神経活動が抑制される可能性があることが示唆された.心拍数・HF・LH/HF ともに年代での有意差は認められなかった.(2)深部温は変化が認められなかった.貼用面温では安静時と冷却後0-5,6-10,11-15,16-20分(P〈0.001),冷却後0-5分と11-15分(Pく0.05),16-20分(P〈0.01)の間で有意に低くなっていたことから,氷枕貼用直後から貼用後10分〜15分までは急激に温度低下が起こることが明らかとなった.(3)POMSは実験群AでT-A(緊張一不安),実験群BでD(抑うつ-落込み)が有意に低下した(P〈0.05).統制群では差がなく,実験群A・Bそれぞれで差があったことから後頭部冷罨法は緊張-不安,抑うつ一落込みの気分が改善される効果があるのではないかと考えられた.本研究成果の一部を,第11回北日本看護学会学術集会にて公表した.
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