本研究は、緑茶カテキンの優れた薬効を、より積極的に看護ケアへ取り入れるための基礎的データの蓄積を目的に行った。 既に昨年度、茶には抗菌作用があること、またEHEC 0157に茶を接触させると、接触直後より菌体表面全体に小胞が出現し、4時間後には菌体の伸長や細胞壁・細胞膜の剥離や破壊を認めることを確認した。この事実に基づき、本年度は細菌以外の細胞(RAW細胞)を用いた毒性試験、さらにカテキン類を除去した茶を用いた抗菌作用についての検討を行った。 まず、茶抽出液の量を変えて添加し細胞培養を行った後にMTT法を行った結果、300μ1まではコントロールに比べ細胞数が増加していたが、400μ1から細胞数が減少していた。一方、精製されたカテキンを添加して同様に行った結果、カテキン量が80μg/mlの時に145%と最も細胞数が多いという結果を得た。また、その際使用した茶抽出液のカテキン量を酒石酸法によるカテキン比色定量にて測定した結果は3.88mg/mlであった。 さらに、PVPPを用いて茶抽出液からカテキンを除去して抗菌作用を確認した。PVPPにより、3.88mg/mlから0.058mg/mlにまでカテキン量を減らしたものをカテキン除去液として細菌増殖実験を行った結果、抗菌作用は認められなかった。 以上の結果より、細菌以外の細胞においてカテキンはある一定量までは増殖を促進させるが、多量の使用においては細胞の増殖を抑制する可能性が示唆された。また、'茶抽出液の抗菌作用はカテキン影響が大きいものと考えられた。
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