【研究目的】 筋肉内注射は、対象者への侵襲が大きく危険を伴う行為である。筋肉内注射における皮膚保持法であるZ字型法に注目し、看護技術の安全性・有効性を検証することを本研究の目的とする。 皮膚保持法とは、筋肉内注射を行う際、注射器を持っていない方の手が、注射部位の皮膚をどのように保持しているかという方法である。 【研究方法】 ウサギ(Kb1:JW)4体を材料として、(1)伸展法、(2)つまみ上げ法、(3)Z字型法という3つの皮膚保持法を比較し、対象への侵襲が少なく、注入される薬液の目的とする効果が発揮されやすい方法を検証するための実験を行った。また、実践方法の検討を行った。 【研究結果】 上記3方法を比較すると、Z字型法が他の2方法よりも薬液の吸収が速く、筋線維への影響が少ないという結果が出た。この結果を受け、Z字型法を実践可能なものとするため、基礎看護学講座で看護技術を担当する教員で、中殿筋および三角筋へZ字型法による筋肉内注射を実施するための手技を検討した。Z字型法は、伸展法やつまみ上げ法と違い、皮膚を一方向へ引きながら針の刺入および薬液注入を行うため針の固定が難しくなってくる。検討の結果、手掌の小指側(外側)で皮膚を引きながら、もう一方の手で針を刺入し、皮膚を固定している手へ注射器を持ち替える方法で実施可能であることがわかった。この検討結果を踏まえ、平成19年度の看護技術の授業において、Z字型法による筋肉内注射の技術教育を実施した。
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