研究概要 |
現在,薬剤の血管外漏出時のケアは,温罨法,冷罨法,アクリノール湿布貼付等多様であるが,その目的については重複し,効果が明確にされていない。また,薬剤の血管外漏出を発見した際の状況やケア後の観察不足とともに,看護記録への記載が不十分であるとされている。これらのことから,薬剤の血管外漏出時のケアを確立することを目的に本研究を行った。 点滴静脈注射を実施する機会の多い病院の看護師を対象に,新たに開発した「薬剤の血管外漏出アセスメントシート」を用いて,調査を実施した。その結果,薬剤血管外漏出直後に腫脹(87.5%)が出現し,ついで,発赤(63.0%),圧痛(53.2%),疼痛(46.9%),硬結(33.3%)が出現すること。注意が必要とされる薬剤以外の薬剤の漏出においても,中等度からかなりの疼痛を引き起こすことが明らかとなった。また,基礎的研究の情報を発信するとともに,臨床現場より情報を収集し,ケアに困難を抱える者の交流を深めるための「薬剤の血管外漏出情報センター」を設立した。基礎的研究において,マウスにおいても起炎性の薬剤については,冷罨法が皮下組織への炎症性細胞の浸潤を抑制することを明らかにした。
|