本年度の実績は以下の2点である。 1.「片足足浴による対側への循環促進効果」について 足浴ケアは保清目的の他、温熱作用、循環促進作用など、多くの優れた効果を期待して行われる。しかし、疾患により片足にしか実施できない場合、生理作用は不明な点が多く、専ら保清の為に行われることが多い。本年度は、足浴が片足にしか実施できない場合、その効果は反対足にまで波及するのか否かを明らかにすることを目的として、成人女性10名に対して、一定条件下で片足に足浴を50分間行い反対側の膝部内側・足背・第一趾背部における皮膚血流量・皮膚表面温度・皮下温度の変化を経時的に調べた。その結果、足浴実施側においても対側においても、皮膚血流量の増加、皮膚表面温度および皮下温度の上昇が認められた。即ち、片足足浴が対側に、温熱・循環促進効果をもたらしたと考えられる。これにより、牽引やギプスなどの制限を受ける患側下肢にも、健側への足浴により血流促進効果を得られることが明かとなった。 2.「足浴ブーツによる循環促進効果」 1.の結果を踏まえて、安全・安価・簡便な温器法の材料として、高分子吸収体が最も適している高分子吸収体を原料としたホットパックを用いて「足浴ブーツ」を新たに作成し、成人女性7名に対して片足への温羅法を行った。反対側の膝部内側・足背・第一趾背部における皮膚血流量・皮膚表面温度・皮下温度の変化を経時的に調べ、足浴による変化と比較検討した結果、「足浴ブーツ」にも足浴と同様の温熱・循環促進効果が認められた。これにより、足浴に代わる簡便かつ安価な方法として「足浴ブーツ」を看護技術に応用できる可能性が示唆された。
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