先行研究での課題を踏まえ、圧測定値の安定化、手部の圧力以外に及ぼす影響を再考した。 本研究の目的は、新生児の沐浴における児頭固定時の手部の圧力に着目し、試作した圧力調整用模擬練習装置(以下、模擬練習装置と表記する)を用いた児頭固定の教示方法の効果をみることである。被験者は、沐浴に対して初学者である青年18名で、うち模擬練習装置を使用してトレーニングを行ったTR群11名、トレーニングを行わなかったNTR群7名である。また、両群は助産師の資格を有し沐浴の経験がある熟練群(以下、Skilled Persons群 : S群と表記する)11名と比較し評価した。その結果、以下のことが明らかになった。S群の平均圧力はT部9.5±9.5kPa、M部11.4±9.9kPa、F部23.7±15.1kPa、圧力比は、T部:M部:F部=221:270:509であった。S群とTR群の各実験日との平均圧力比の比較では、F部は1日目に1%水準で有意に低く、2〜7日目は有意差がなかった。一方、NTR群のF部は1〜7日目の全てにおいて1〜5%水準で有意差があった。以上のことから、練習装置を用いて児頭固定を行った初学者は、特にF部においてはS群に近づく傾向が示され、本研究における教示方法は現代背景に沿った養育者の教育に応用可能であると考える。 その他、PSM型超小型圧力センサ以外にエアパック式センサを用いて手部の圧力測定を試みたが、エアパック式センサはセンサパック内に充填された空気の移動量を検出しているため、温度ドリフトや電気ノイズによる影響がほとんどないことが示された。ひずみゲージや感圧ゴムなどを利用している従来の圧力センサの問題点は、SN比が悪いことであった。本研究のように温湯を用いる場合は、温度ドリフトの影響が強いが、エアパック式センサを用いることで良好な結果が得られることが示された。
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