研究概要 |
(1)看護場面における創造性を発揮するための外的要因の検討 看護学および関連領域における創造活動場面において,「人がどのように事例を利用しながら創造活動を進めていくのか」という,創造活動における事例参照プロセスの特徴を検討した.課題は,遊具を紙上でデザインすることであり,看護学を専攻する大学1年生8名が被験者として実験に参加した. その結果,以下の事例参照プロセスの特徴が確認された。 (1)どの被験者も,初期の段階では与えられた事例を評価しながらその形状や機能について検討を行っていた. (2)一部の被験者は,中盤以降において,これまでに考えたアイデアに事例の要素を追加した新しい作品を考案したり,考えたアイデアと事例を比較することで作品のよさを評価していた. (2)創造性の育成を目的とした看護学演習授業の設計・実践 看護実践における創造的な態度を育成することを目的としたプロジェクト形式の授業をデザインし,半期にわたる実践を行った.学習者はグループを組み,患者の行動をサポートするための自助具の作成に取り組んだ.授業後における学習者の看護実践に関する態度の変化を調べた結果,以下の特徴が確認された. (1)学習者は,本実践を通して看護実践における「患者主体の意識」「気づき」「患者に対する態度」「コミュニケーション」の重要性を認識した. (2)SNYDER(1986)のセルフモニタリング尺度の分析結果から,学習者が看護実践においてグループ活動に積極的に関わろうとする態度が確認された.
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