生体肝移植ドナーが受けている医療・ケアを明らかにするために、生体移植医療にかかわる看護師との深い対話をもとに、その看護師が体験を明らかにするという目的で、調査を行った。 生体移植医療(腎・肝)に関わる6名の看護師にインタビューを行い、質的記述的方法で分析を行った。研究参加者となった看護師は生体移植医療には3〜15年の経験があった。分析の結果から、11のテーマが存在し、3つの主なテーマで示される生体移植医療に従事する看護師の体験が明らかになった。 「1.わかっていても踏み込めない」という体験では、移植患者の変化に気づいていても、移植の辞退をされることを恐れ、関与の仕方がわからないと言うことから積極的介入が出来ていなかった。「2.レシピエントを中心とした医療」では、看護の関心はレシピエントに集中し、ドナーには関われていなかった。そして、「3.看護を行いながら感じるジレンマ」では、移植医療は不確かな部分が多くあり、患者や家族に対して確信を持って対応が出来ていないという思いがあり、自らの関与にジレンマを感じていることが明らかになった。これらのことから生体移植医療の看護師は、移植患者に対して十分な関与が出来ていなかった。また、看護師自信もジレンマを持ちながら、確信を持った関与が出来ていない実情が明らかになった。これらのことから、本研究を行うことで、生体肝移植ドナーのケアニーズを明らかにし、移植看護学確立を目指す必要性がある。 生体肝移植ドナーを対象にしたインタビューについては、新潟大学医歯学総合病院の第一外科の協力を得て、募集を行い数名の参加者との接触ができた。更にインタビューを重ねて、分析を深めていく予定である。さらに、同病院の尿器科からも協力が得られ、生体腎移植ドナーの経験者との接触を行い、インタビューを行う予定である。更に、研究参加者の獲得のために、他施設へ交渉も予定している。
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