研究概要 |
14th International Conference on Cancer Nursing 2006(Toronto, CANADA)にて、「緩和的放射線療法を受ける通院がん患者の体験」の研究発表を行い、北米のがん看護の専門家からピアレビューを受けた。さらにトロントのがん専門病院の外来治療センター(化学療法及び放射線療法)の見学では、通院癌治療を継続するがん患者への最新の看護に関する知見を得た。Mayo Clinic(Minnesota, USA)では、主としてがん専門看護師(CNS)及びNP(ナースプラクティショナー)の働きとがん患者及び家族への看護の実際を見学した。そして、各々とのインタビューを実施し、看護実践内容、特に緩和的治療を継続する患者への援助の具体の把握に努めた。結果、北米のがん看護と我が国の違いで際だっていたのは、患者・家族への教育的関わりの方法と内容の豊富さであった。がん患者教育の専門家が外来がんセンターの中に設置され、患者・家族のニーズ調査やマテリアル開発、レクチャーなどを考案・実施し、患者や家族にとって強力なサポートを担っていることが明らかであった。一方、我が国のがん専門病院3施設の外来通院治療センターを見学し、勤務するがん看護専門看護師に面接を行った結果、がん患者の本来持つ力に働きかけるような個別の関わりの困難さが共通して語られた。年々増加する外来治療を継続する患者数や、複雑化する抗癌剤の処方や施行上の留意点の多さなどに加え、求められるケアの質向上といったジレンマや人的配置の問題などが明らかとなった。
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