本研究は、第2子妊娠期から出産後において、まだ幼い第1子を育児しながら第2子を迎える母親および父親がどのように2児の親になっていくのか、その役割変化受容の過程の相違を明らかにすることを目的にして行った。研究方法は、半構成的面接法を用いた縦断的調査である。初年度はまず、母親を対象として予備的に行っていたインタビュー内容を参考とし、本研究の調査にむけ、インタビューの質問内容を吟味した。対象者のリクルートは、研究の趣旨を説明し、許可を得られた病産院および社会的活動の場にて行い、調査対象者へは、研究の目的・内容・面接の概要およびプライバシーの保護等を説明し、倫理的配慮を十分に行った。インタビューは、母親および父親それぞれに対し行い、お互いの意見が影響しないように考慮し、第1子および第2子の発達状況、育児状況、児に対する育児意識、パートナー(母親は児の父親、父親は児の母親)に対する意識等について、インタビューを行った。2回目以降は、現在の状況をインタビューした上で、前回のインタビュー内容の確認と現在までの変化を確認した。母親および父親8組を対象とし、産前、産後1〜2ヶ月、産後6〜7ヶ月の計3回、インタビューを行ったが、2組は研究対象の条件から逸脱したため、分析対象は6組となった。母親の年齢は28〜36歳、父親の年齢は28〜40歳、第1子の年齢は初回インタビュー時に1〜2歳であった。インタビュー内容を逐語録に起こし質的記述的に内容分析を行った結果、産前においては、母親と父親の第2子を迎えることに対する意識の違いが見られたが、産後6ヶ月〜7ヶ月においては、母親と父親の意識が類似している様子が伺われた。また、第2子の出産後に、お互いに対し、親としておよびパートナーとしての信頼が深くなったことが語られた。
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