平成20年度は、研究成果を日本救急看護学会誌へ投稿を行った。 その後、高度救命救急センターに救急搬送された患者の家族5名を対象とし、追加のデータ収集を行った。目的は、先行研究で明らかになった研究結果の妥当性を検証することであった。対象とした5名はすべて女性であり、続柄は妻3名、子供2名であった。面接で得られた家族のニードをコード化した結果、先行研究で明らかになったコード以上のものは抽出されなかった。このことより、先行研究で明らかになった家族のニードは、飽和状態にあったと判断した。また、CNS-FACEで行動評定した項目と面接調査によって抽出したニードのコードを比較しニードの具体的な内容に関する一致度を算出した結果、最も高い割合で捉えられていたのは保証のニードであり80.3%の割合であった。一方、家族のニードを最も捉えられていなかった項目は、安寧・安楽のニードであり、28.0%の割合であった。以上の結果も、先行研究と同様の結果であり、このことから、CNS-FACEを用いることによって、家族の保証のニードや情報のニードは高い割合で捉える事ができるが、安寧・安楽のニードは捉えづらいことが確認できた。家族は、患者の救命を第一に考えるあまり、自ら休息や安寧を医療者に求めることは少ないと考えられる。この結果を踏まえ、医療者は意識的に家族の心身の健康状態について情報収集を行い、安寧・安楽のニードを捉えていくことが必要であるといえる。
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