本研究課題は、心疾患をもつ若年成人の生活変容決意の構造を明らかにすることである。本研究で述べる、若年成人とは45才未満とし、生活変容決意とは、発症後に生活様式を変えようとする明確な意思決定と操作的に定義する。高血圧、虚血性心疾患などの心疾患は、発症後は慢性的経過をたどるため、若年成人の場合、人生の長期にわたり療養生活を継続しなけばならない。療養生活の継続には、自分の意思で治療を選択し、生活を調整することが必要であるが、社会生活を営む若年成人にはいくつかの障碍が存在する。本研究では、若年成人の生活変容決意に関する心理社会的要因を調査し、要因間の関連を構造化することと、その変遷を明らかにすることを目的とする。 今年度は、(1)心疾患をもつ若年成人の生活変容決意に関する仮説モデルと調査票の作成と調査計画の策定と、(2)研究成果発表と若年成人を対象にした情報提供を試みた。 (1)に関しては、心疾患発症年齢が45才未満の若年成人を対象にした面接調査結果を、これまでの研究成果に基づき、生活変容決意を構成すると考えられる変数とその因果関係に関する仮説モデルを設定した。生活変容決意を構成すると考えられる変数、概念間の関係やアウトカムを検討し、具体的な測定項目を決定し調査票を作成した。S県内1施設にフィールドを予備調査の打診をし、現在準備をすすめている。(2)に関しては、これまでの関連研究の成果発表を学会誌および雑誌に投稿したが、いずれも内容が掲載の趣旨と一致していない理由で投稿不可であった。適切な投稿雑誌の再検討、または学会発表を検討したい。また、心疾患をもつ若年成人を対象としたホームページを作成し、彼らが生活調整を維持するために必要な情報の場を設けた。今後広く運用をするため、あらたなアカウント取得等を検討している。
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