H20年度は、これまで実施してきた長期入院がん患児におけるClostridium difficile消化管保有と院内伝播に関する検討を論文として発表した(日本感染症学雑誌82(5)p419-4252008)。 化学療法中のがん患児のC.difficle関連下痢症/腸炎の実態、および排泄ケアを行なう看護師や家族等の排泄ケア行動の実態を明らかにし、効果的な接触感染の方法を明らかにすることを目的に、長期入院がん患児におけるC.difficle消化管保有状況を継続的な調査・分析、患児の生活およびベッド周囲の状況、排泄物の処理経路等の確認を行なった。 その結果、長期入院がん患児において非常に高い割合でC.difficleが消化管内で増殖していることや水平伝播の可能性が示唆された。さらに、小児の入院患児の場合、身の回りの世話を家族が行うことが非常に多い等、成人患者らとは異なる生活背景、入院状況であることが明らかとなった。よって、C.difficle感染症の予防方法を検討する上で、小児の成長発達段階や患児へのケアだけではなく、付き添いや面会の家族も含めて考慮した排泄ケアが重要であると示唆された。
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