研究概要 |
本研究は,家族性腫瘍家系内の発端者に対して,看護者が身体症状のマネジメントを行いながら遺伝看護を提供する時期や方法を見出し,患者が血縁者に遺伝情報を適切な時期に提供することができることを目的とした「遺伝看護介入モデル」を開発することを目指す。初年度は,「大腸全摘出術後の排泄障害をもつ患者のための症状マネジメントツール」を作成した。今年度は,このツールをもとに症状の変化をとらえながら,患者が遺伝性のがんに対処することを支える看護の方略(遺伝看護介入モデル)を導き出すため,以下の通りサポートグループの中での医療者の役割を抽出した。 【目的】家族性大腸腺腫症め患者、家族、医療者で構成されているサポートグループにおける「医療者の役割」を明確化する。 【方法】サポートグループの活動報告が掲載されている会報1〜12号の内容分析を行った。 【結果】医療者が果たしている役割を抽出し,内容分析を行ったところ6つの役割が抽出された。役割の内容は,(1)医学的情報理解のサポート,(2)自分の身体を理解するための情報提示,(3)生活上の留意点の提示,(4)適切な医療への連携,(5)セルフケア能力を引き出すためのサポート,(6)研究結果の提示であった。 【考察】10年間のサポートグループの活動の中で医療者が果たしていた役割は,患者会のニーズに応じた医学的知識の提供方法であった。次年度は,集団対応と個別対応を使い分ける判断指標を明確化し,遺伝看護介入モデル作成後,介入研究を行う予定である。
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