研究概要 |
1.思春期喘息児における医療従事者との協働の概念枠組(前年度の面接調査にて得られた結果)を,事例ごとに照らし合わせて概念枠組の検証を行った.喘息児が医療従事者との協働を考える場合に,患児自身,医師・看護師・家族の役割,協働において大切なこと,喘息児自身の役割遂行に関連していること,および各カテゴリー間の関連・方向性は事例ごとに異なるものであったが,概念レベルでの矛盾はなく,各事例において説明できるものであった.具体例として,A事例(15歳)では医療従事者と協働していくうえでは医療者との『信頼関係』が大切であり,信頼関係のもとに『対話』が成立すると認識していた.また,医師に信頼を置くことで,患児自身の役割(指示された治療を守る)が高められ,さらに『対話』のプロセスにおいて目標を共有し,そのうえで患児・家族・医療者の協働における役割が明確になると認識をしていた.また,患児自身の役割遂行においては,医療者からの適切なフィードバックとそれによって成果を実感できることが促進因子となっていた. 2.医療施設(大学病院)でのフィールドワークにおいて服薬コンプライアンスが低い喘息児を中心に面接を継続し,事例検討においてコンプライアンスを高めるうえで必要な看護支援を検討し,以下の示唆を得た.(1)慢性疾患である喘息の長期的な療養においては,それまで服薬コンプライアンスが良かったとしても,個々の要因によって服薬コンプライアンスが低下するため,外来での変化を見逃さずタイミングよく患児にアプローチすること,(2)患児自身による目標設定とそれを現実化するたあの具体的な方法をともにみつけ,その継続を支援していくこと,(3)患児の取組みに対して適切なフィードバックをすることで成果を実感し,自己効力感が高められるような関わりをもつことが必要である.
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