18年度は、在宅高齢パーキンソン病患者の主体的な服薬支援プログラムの開発のために以下のことを行った。 1.平成17年度に実施した在宅高齢パーキンソン病患者の服薬行動のプロセスの実態調査のデータを質的・帰納的に服薬行動に何が影響しているかという視点で分析した。その結果、【疾患や服薬の未理解】【医療者との関係の未形成】【効果よりも強い副作用の体感】【同病者からの情報】【過去の苦い体験】【身体の調子】【病状悪化への恐れ】【今後の生活の不確かさ】などが影響していることが明らかとなった。2.17年度の結果以外に服薬行動に影響を与える内容がないかを検討するために、F県内の総合病院の神経内科外来に通院中の在宅中高齢パーキンソン病患者13名(男性7名、女性5名、平均68.5歳、Hoehn-yhar II;7名、II〜III;2名、III;2名、IV;1名)に面接調査を行った。その結果、13名中8名は薬を増量する、服薬の回数や種類を減らす、服薬時間を変更するなどの自己調整を行っていた。中には検査時や酒を飲む、風邪薬・鎮痛剤を服用する時は薬を抜かす者や、20年以上の闘病生活を送っていても症状の悪化に伴い自己調整を行っているものがいることが明らかとなった。また、服薬初期は【疾患や服薬の未理解】【医療者との関係の未形成】のために、【効果よりも強い副作用の体感】をすると服薬中断しやすいことが明らかとなり、先ず初期の患者に服薬支援を行うことが長期にわたる服薬治療に主体的に参画できることに繋がるのではないかと考えられた。3.現在17年度と18年度の調査結果や学術集会に参加し得た知見を元に服薬支援プログラム案を作成中である。
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