高度医療を提供している特定機能病院に勤務する看護師がリエゾン精神専門看護師に相談依頼する事例の特徴を明らかにすることを目的に、事前調査として国内外の文献レビューを行い、その後、リエゾン精神専門看護師である研究者が予備調査のため相談依頼のあった事例を分析するとともに相談依頼した看護師の所属する病棟でフィールドワークを行った。 文献レビューの結果、米国では精神科リエゾンチームの中でのナースコンサルタントへの依頼のあった事例は、患者だけでなく家族やスタッフのサポートの役割を必要とする事例であるとの報告があった。また、国内における報告でも、リエゾン精神専門看護師は疾患や治療に伴う危機や一時的に急激なストレス下にある患者だけでなく家族、そして看護者や医療者のケアへの意欲を取り戻すための役割があることを指摘している。しかし、国内外の文献において高度医療を提供する特定機能病院でのリエゾン精神専門看護師の活動成果の報告は見当たらなかった。 そこで、特定機能病院においてリエゾン精神専門看護師である研究者自身への相談事例の分析を行った結果リエゾン精神専門看護師への相談事例は、問題となるような行動があり看護師が困る患者へのケアに関する相談にとどまらず、大半はそういった患者のケアへ疲れ、途方に暮れ悩んでいる看護師や医療者への心理的支援を含めた介入や家族への介入を必要とする事例であった。 さらに予備調査でリエゾン精神専門看護師である研究者自身が病棟でのフィールドワークを行い、特定機能病院に勤務する看護師とのかかわりを通して明らかとなってきたのは、看護師が最も困難と感じている事例は移植などの高度医療をうける急性期患者への病名告知に葛藤する家族に関する事例など倫理的葛藤を伴う事例であった。今後、フィールドワークの本調査を行い、さらに事例の分析を深める。
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