高度医療を提供している特定機能病院に勤務する看護師が、リエゾン精神専門看護師にコンサルテーションを依頼する事例の特徴を明らかとするだめに、研究者が所属する施設にてフィールドワークを行い、事例の分析を行てった。その結果、コンサルテーション依頼のあった重例に関して、看護師は患者への関心といった肯定的な感情がある一方で、「逃げ出してしまいたい」と思うほどの否定的な感情を抱いていることが明らかとなった。また、看護師自身は自らの否定的な感情に関して、相談当初は表出しないが、リエゾン精神専門看護師との面接のなかで、否定的感情を表出するようになった。そして、リエゾン精神専門看護師の介入により、自らの否定的な感情の存在を意識し、そういった感情が実は患者が抱いている感情でもあることへの気づきによって、患者への理解が深まり、困難さを伴うケアの継続が可能となっていた。つまり、リエゾン精神専門看護師へコンサルテーション依頼をする事例では、看護師は否定的感情と肯定的感情を同時に抱いており、依頼をする際には肯定的な感情が原動力となっているものの、リエゾン精神専門看護師による面接などの介入によって支援を受けることで、自らの体験を正面すら取り組むことができるようになり、自らの否定的感情にも気付くことができていた。さらにそういった自らの否定的感情の認識から患者へのより深い理解が可能となり、自らが行っている援助過程に意味を見出すことができ困難さを伴う援助を回避することなく、継続することが可能となっていた。 今後は、さらに看護師に肯定的感情だけでなく否定的な感情をも抱かる患者への援助過程の分析を進め、看護師の感情体験を支援することに関してさらに検討を行う。
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