研究目的 本研究が最終的に目指しているのは、中学生のメンタルヘルスの問題を、健康教育としてとりあげ、実践することにより、早期介入、一次・二次予防が可能になるための方略、戦略をたてることである。そのための手段として精神科看護領域の一つとして養護教諭と協力を結び、養護教諭を介した教育プログラムを実践する方法を提起し、その効果を探ることにある。 研究方法 教育実践家へのヒアリングを通して、教育プログラムに必要な構造的・機能的要素を抽出した。それを素に平成18年度は、試行的なメンタルヘルス教育プログラムとツールの開発と実施を行った。対象となったのは島根県A市の公立中学校1年生で、全体113名を対照群と介入群に振り分け、教育前に質問紙調査を行った。養護教諭と協力をして、講義3時間と見学プログラムを組み合わせた教育プログラムを実施した。教育後にも教育前と同様の調査を実施し、教育効果を検討した。 研究結果 ヒアリングから思春期の安定した学校生活を支えるためには、生徒が心理的不調時に早期に適切な援助を受けられることが重要なトピックスであると示され、その効果指標を援助希求行動の肯定的変化とした。またそれに関連する要素として、精神保健上の知識やイメージ、偏見等を関連要素とした。それらの尺度を作成し、開発した教育効果を評価した結果、イメージ以外すべての変数が教育を通じて肯定的に変化し、本教育には早期介入を可能にする一定の効果があることが確認できた。 結論 思春期の早期介入を可能にするプログラム開発することを目的に、ヒアリングを行ったところ、援助希求行動が重要なトピックであることが示された。開発した教育プログラムには援助希求行動を高める効果が示唆され、一次予防的効果のある思春期メンタルヘルス教育プログラムの開発に成功した。
|