ベースライン時のアンケート調査を平成17年9月に開始しているため、平成19年度は追跡2年経過したことになる。本研究は、平成17年9月から平成20年8月までの3年間の前向き縦断研究であるため、自治体Aから提供を受ける情報を基に引き続き、データベース整備を行った。データベースの中味は、追跡アンケート調査結果、介護予防事業の参加状況、要介護状態への移行日(原因疾患)、死亡日(死因)、町外転出日である。追跡2年目以降は、追跡アンケート調査は実施せず、介護予防事業の参加状況とエンドポイントである要介護状態への移行日(原因疾患)、死亡日(死因)、町外転出日の転記を研究協力者2名を雇用して引き続き行った。介護予防事業の参加状況に関しては、本研究の目的でもあるポピュレーション・アプローチとして、全38地域で毎月2回展開されている運動を中心とした小地域型(草の根)の介護予防事業の19年度の参加状況のデータを収集した。要介護状態への移行日と要介護の原因疾患は介護保険台帳、死亡日と死因は死亡小票、町外転出日は住民基本台帳を閲覧しデータを得た。 平成19年度は、横断的分析を行い、介護予防事業の参加群と非参加群の2群に分け、平成17年9月のベースライン時の追跡アンケート調査結果を基に、基本的属性(居住地域、性別、年齢)、閉じこもり尺度(総合的移動能力、外出頻度、生活行動範囲)、生活機能(日常生活動作、老研式活動能力指標)、身体的特徴(既往歴、現病歴、視力・聴力障害、身体の痛み、尿失禁、咀嚼力、物忘れの状況、1年以内の転倒経験、喫煙習慣)、心理・社会的特徴(主観的健康観、生きがい、趣味・楽しみ、親しい友達の有無、家族内役割の有無、社会活動参加状況)の出現頻度の差異から小地域型介護予防事業の効果をみた。
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