研究概要 |
平成19年度は,訪問看護師を対象としたアサーショントレーニング講習会のメンタルヘルスヘの効果を明らかにすることを目的として研究に取り組んだ.介入群と対照群をボランティアで募集し,比較対照試験を行った.介入群には2日間の「アサーショントレーニング講習会」を受講してもらった.これには臨床心理士で日本精神技術研究所認定のアサーショントレーニングトレーナーを講師として招待し,アサーショントレーニング基礎・理論編を実施してもらった. 効果の評価方法としては,介入前,介入直後,介入6ケ月後の計3回,対象者全員に質問紙調査を行い,縦断的評価を行った.メンタルヘルスの評価に用いた尺度は,Tntragroup conflict(職場の対人葛藤),ソーシャルサポート,職務満足度,仕事継続意思であった. まず介入前の横断調査において,訪問看護師の職務満足には雇用形態(非常勤か常勤か)と対人葛藤が関連し,非常勤で対人葛藤認知が低い訪問看護師ほど職務満足度が高いことが明らかとなった(第34回日本看護研究学会学術集会において発表予定). 介入前後の2時点比較では,介入群において上司や同僚からのソーシャルサポート得点が,介入後に上昇していた。対人葛藤や職務満足度の変化は見られなかった.アサーショントレーニングが参加者のソーシャルサポート認知の向上に影響した可能性が考えられた.3回の縦断調査については分析中である. 本研究は訪問看護師の職場の対人環境に着目している.訪問看護ステーションは病院等と比較して規模が小さい.よって規模が小さい職場における対人葛藤を低減させる方略や,職務満足度を向上させる方略を考案する際の基礎資料となると考える.
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