職場風土と職員のメンタルヘルスとの関連を明らかにするため、質問紙調査を実施した。6〜11月は、対象者を得るため一般企業等に調査協力の依頼を続けた。協力の承諾が得られた順に調査実施の準備をすすめ、12〜2月に、職員数が300〜400人前後の自治体組織および一般企業組織計4か所に所属する計1379人の対象者に対して、自記式無記名調査を実施した。有効回答は1082、有効回答率は78.5%であった。 自治体組織と一般企業組織とでは、風土に差が認められた。自治体組織は、伝統自由・組織活発型(イキイキ型)と伝統自由・組織不活発型(バラバラ型)に大別されるのに対し、一般企業では、伝統強制・組織活発型(シブシブ型)や伝統強制・組織不活発型(イヤイヤ型)も含まれていた。比較分析では、イキイキ型とバラバラ型は、所属職員の健康度には大きな差は認められなかった。しかし、上司・同僚からの支援や、職員間のコミュニケーションでは、イキイキ型が有意に良好な値を示した。また、シブシブ型やイヤイヤ型の職場に所属する職員は、メンタルヘルスが低い傾向を示した。社会的支援がストレスの緩衝要因になることやモラールの高さやマネジメントの良好さを考えると、イキイキ型風土が健康職場モデルによる健康な組織に最も近い風土と考えられた。 さらに、比較分析・相関分析の結果と先行研究の成果をふまえて仮説モデルを作成し、パス解析によって検証した。その結果、管理職・実務リーダーは、不調者対応のみならず、平素からイキイキ型職場風土の形成に取り組むことが、メンタルヘルス対策として必要と考えられた。(674字)
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