研究概要 |
本研究全体の研究目的は,介護状況を想定した場合に配偶者間で互いを支え合わなくてはならないと思っている「介護義務感」の概念構造を明確化し,客観的指標として具体的に測定できるように「介護義務感」の測定項目を設計することおよび,その尺度の精度を検証することである。 研究は3年計画であり,2007年度の計画は,介護状況において配偶者間で互いを支え合わなくてはならないと思っている介護への義務感(「SOCEO」)の概念構造の明確化と理論的定義を確立することであった。 2007年度の実績は,2006年度から引き続き実施していた調査(1)を5月に終了し,現在は,第一段階としての結果をまとめた論文を投稿中である。調査(1)から,SOCEO概念を構成すると考えられる要素として21要素が導き出された。しかし,この21要素には,相互作用が考えられるものも含まれており,要素間の関連,その強さについて再検討する必要性があたらしく生じた。そこで,2007年度は,当初の研究計画にあったSOCEOの概念化をより詳しく行うこととし,ここへの研究時間を大幅に追加することになった。まず,調査(1)の補足調査として,調査(1)と同じ内容の調査を異なる対象者を選出して調査しており,調査(1)の結果についてより精度があがるように計画を微調整した。この追調査は現在進行中である。次に,並行して概念化研究として,文献収集および調査(1)の結果から結果をまとめる予定で進行中である。 その他,本年度の研究実績として,高齢者の有用感と生存率との関連を検討した研究成果および家族間のコミュニケーション量と主観的幸福感との関連を検討した研究を公表した。これらの知見は,配偶者の介護義務感を測定する際の外部基準要因として参考になると考えている。
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