目的 : 終末期がん患者の家族のためのケアプログラムを実施し、介入群と通常ケア群を比較することで、有効性と実用性を評価する。 方法 : 介入群を用い、無作為割付を行う準実験研究。対象は在宅で療養している終末期がん患者の家族、以下の条件(1)終末期がん患者の配偶者、(2)終末期がん患者の年齢が75歳未満である者、(3)研究の参加に同意が得られた者、を満たすものとした。介入群には第1回〜4回の介入を行う。通常ケア群は第1回の介入を行い、第2回の訪問時には、実際に訪問看護師が家族に行っている通常ケアを行う。 結果 : 平成20年12月末現在における、介入群5名と通常ケア群5名の計10名。年齢は、30歳代-70歳代、男性4名、女性6名。第1回介入前と第2回介入前のデータにおいて有意差はなかった。 1) 介入群と通常ケア群の比較 GHQ28の下位尺度である「身体的症状」において、通常ケア群に比べて介入群の方が有意に低かった。それ以外では、有意な差はみられなかった。 2) ケアプログラムの効果 CSの下位尺度、消極的な対処である「回避・逃避型」において、ケアプログラムを受けることにより低くくなる傾向がみられた。それ以外では、有意な差はみられなかった。 考察 : 介入群は通常ケア群に比べて、身体的症状が少なかったことは、複雑な悲嘆の一つである身体症状が少なく、複雑な悲嘆に陥るという危機を回避することができた。 ケアプログラムを受けることにより、ストレスへの対処の「回避・逃避型」である消極的な対処が軽減する傾向がみられ、大切な人の死別というストレスに対し、逃避することなく悲嘆の作業を行うことにつながっている。
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