研究概要 |
本研究は, 介護老人保健施設(以下老健とする)における看取りに対する施設スタッフおよび家族の揺らぎと満足度を明らかにすることを目的としている。本年度は, 実際に看取りを行っている老健に勤務する管理者および看護職者, 介護職者にインタビューを行った。 1. 協力者 : 協力者は3施設12名で, 管理者3名, 看護職者2名(女性2名, 平均年齢34歳, 老健平均経験年数5年), 介護職者7名(女性3名, 男性4名, 平均年齢30.7歳, 老健平均経験年数7年)であった, 2. 結果 :<看護管理者>老健での看取りは, 利用者が最期の時までをどのように生きるのかを利用者・家族とともに十分に考え, 支援することができることを特徴と捉え, それは同時にスタッフの学びの機会になると考えていた。管理者は, 利用者の状況や家族の揺れに添って様々な対応を丁寧に行っていた。また, 医師を巻き込むこと, ケアの方針を一本化させること, スタッフの様々な揺らぎに対するフォローを行うことが管理者の責任と捉え実施していた。<看護・介護職者>老健での看取りは, 他・多職種で協力しながらケアを行うことを特徴と考えていた。特に, 看護職者は介護職者の観察力やケアへの発想を素晴らしいと感じ, 介護職者は漠然とした不安を抱かえる中で看護職者から安心感を得ていた。両者ともに, 最期までその人らしいケアを考え, 行えることに満足感を感じていた。介護職者は徐々に状態が悪化する利用者を前に, 自身のケアのレベルアップや居心地の良い環境作りなどを懸命に行っている一方で, 何もできない無力感を感じる経験をしていた。
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