本研究は、慢性統合失調症患者の意思決定を重視し、より質の高い医療・看護を提供するため、慢性統合失調症患者が認知しているセルフケア能力を明らかにすることで、患者参加型の医療の標準化をめざす指標を検討することを目的としている。本年度は、作成した「慢性統合失調症患者のセルフケア能カアセスメントツール (案) 」を用いて、セルフケア理論を導入している臨床に勤務するエキスパートナースに、統合失調症患者のケースを本アセスメントツールを用いて実施し、また評価シートに記入してもらい更なるツールの洗練化を目指すことを目標に実施した。また、「慢性統合失調症患者のセルフケア能力アセスメントツールのためのガイドライン」を作成し、ツールの使用方法についても検討を行うことも目標とした。その結果、本ツールを用いてアセスメントするためには、日ごろから、患者の細かい情報をキャッチすることが必要であり、その人のもつ力を患者自身、看護者自身が共通に理解把握する必要があること、入院時患者がどのようになりたいのかその目標や課題を明確にしていく必要性が再認識される結果となった。項目数を少なくすると、抽象化することにもなり、患者に合わせて適応できる幅は増えるが、その解釈は看護師の経験にも影響があることなどがわかった。また、本ツールは、慢性統合失調症患者のセルフケア能力について新人看護師に関わらず、看護師への現任教育にも使用可能であり、患者がもつ能力を理解し、その患者にあった目標・計画を立案する道具として活用できると考えられた。現在、評価の分析中であり、結果を学会誌投稿する予定である。
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