研究最終年度 (助成3年目) の本年度は、 (1) 個別的継続運動・栄養プログラム参加者の効果評価研究、 (2) 健診受診者から非参加群を設定し、参加群との比較による効果評価研究を計画した。研究実施にあたり、倫理委員会で承認された研究計画を遵守し、倫理的に配慮した。 研究 (1) について : 平成18〜19年度に、1自治体で行われた個別的継続運動・栄養プログラム参加者81人を対象に、郵送による追跡調査を実施した。データ項目は、属性、生活習慣に関する項目、健診結果に関する項目、食事と身体活動の変化ステージ、トランスセオレティカル・モデル (TTM) の構成概念およびSF-36とした。ベースラインと3-6か月の介入直後の2時点でテータ収集が可能であった79人のテータを分析したところ、食事と運動のステージに2時点における有意差がみられ、ベースライン時点よりも介入直後で行動変容が進んでいることが示唆された。また、体重や体脂肪、腹囲が有意に減少し、空腹時血糖、HbA_<1c>、総コレステロールが減少した。また、包括的QOL尺度であるSF-36の下位項目、身体機能および全体的健康感の得点が有意に上昇した。 さらに、参加1年後のデータが比較可能な57人のデータを分析したところ、HbA_<1c>、総コレステロール、中性脂肪、腹囲とBMIが対応のあるt検定で有意に減少しており、1年後もプログラム参加の効果がみられることが示唆された。 研究 (2) について : ベースラインと1年後のデータが入手できた参加群57人、非参加群114人 (性・年齢をマッチング) を分析した。ベースラインでは、参加群の方が、身体機能 (SF-36) とHDLが低値、中性脂肪と腹囲が高値だったが、1年後では、身体機能と中性脂肪にて両群の差は消失していた。研究 (1) の結果と総合すると、プログラム参加により1年後のメタボリックシンドローム関連項目の値が改善されている様子が示唆された。
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