マウス嗅上皮における変性部位の割合は加齢に伴って増加し、また高度変性部位の割合も増加した。また上皮下のBowman腺の形態異常も加齢に従って増加し、特に嗅上皮の変性部位の上皮下に高頻度で認められた。生理的加齢に伴って基底細胞の増殖と嗅上皮のアポトーシスの頻度はともに減少したが、前駆細胞から成熟嗅神経細胞に分化するまでの時間経過はほぼ一定であった。さらに嗅上皮傷害モデルマウスの解析では嗅上皮の再生能力が加齢変化とともに低下し、これは細胞の分化過程の遅延ではなく前駆細胞の増殖能の低下による可能性が高いと考えられた。
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