1.野生型マウスへのMOG-EAE惹起による病型解析 本研究ではMSの動物モデルであるEAEの惹起にあたり、myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)ペプチドを用いている。本年度までに我々は、MOGペプチドを使用したEAEの惹起に成功し、視神経炎の発症も確認できた。さらにEAEの発症および進行パターン別に病型を4タイプに大別し、各病型と視神経炎発症率並びに重症度との関連を形態学的・電気生理学的手法を用いて解析中である。 2.野生型及びASK1KOマウスへのMOG-EAE惹起による病理学的解析 MOG-EAEを惹起した野生型およびASK1KOマウスを用いて、ASK1発現細胞種の同定と細胞死に与える影響、ASK1発現細胞におけるp38/JNKの活性、および下流に位置すると考えられる因子の動態を免疫組織化学やウエスタンブロッティング法によって解析した。現在までに、ASK1KOマウスでは野生型に比べ進行型EAEの発現率が低く、EAE全型の平均でも重篤度が軽減することを見い出している。またEAEの病態進行におけるASK1の機能をin vivoで解析し、ASK1KOマウスにおけるEAE病態の軽減には、脱髄に関与するサイトカインおよび炎症性細胞の誘導に関与するケモカインの産生レベル低下が関与していると考えた。そこでEAEを惹起した野生型およびASK1KOマウスの病巣部分におけるサイトカインおよびケモカインレベルをELISA法などによって検討中である。脊髄炎に関する検討に加えて、ASK1KOマウスにおける視神経炎の発症率、および重症度を野生型と同様の手法で解析した。これまでに網膜神経節細胞および各種グリア細胞の初代培養細胞作成法を確立しており、共培養を行うことでグリア-神経細胞間の相関作用についても合わせて検討を進めている。
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