FTTHに代表される通信回線のブロードバンド化と、低価格・高性能PCの普及に支えられ、スポーツ中継など、リアルタイム性の高い大容量動画コンテンツのストリーミング配信が年々増加している。現在、デジタルコンテンツの著作権を保護する仕組みとして盛んに研究されているのがDRM(Digital Rights Management)技術である。ところが、DRMの管理下に置かれずに不正流通するコンテンツが無数に存在し、大きな社会問題になっている。そこで、配信コンテンツの流通状況を監視し、不正流通に関与する端末をリアルタイムに特定するトレイタトレーシング技術として、ネットワーク上におけるパケット量の変化を波形として表し、その波形のマッチングによりトレーシングを行う、ネットワーク型トレイタトレーシング技術のアイデアを考案し、特許を出願した。 本研究ではこのネットワーク型トレイタトレーシング技術の実効性について、小規模コンテンツ配信システムを構築し、数々のストリーミング映像を用いた実証実験を行った。この実証実験では、実際の配信環境を実現すべく、ユーザに至る途中経路には、エミュレーションによる擬似遠隔地環境・無線環境を構築し、バックグラウンドでも配信以外の通信を行った。そして、このような環境下において、配信サーバから送信されるトラヒック量を観測し、マネージメントサーバにストアすることが可能になるシステムを開発した。実ネットワーク環境に適応させた上記の改良を行った結果、そのトレーシング能力を向上させることが可能になり、コンテンツ視聴を検知するための新たなプロトタイプを開発することが出来た。
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