研究概要 |
本研究の目的は,ソフトウェア開発に要するコストの過半を占めるとも言われるソフトウェア保守工程を支援する技術の一環として,保守の障害となるコードクローン(プログラム中の重複した記述のこと)の理解と,有害度の高いコードクローンの判別をする手法の構築にある. 平成18年度は,コードクローンの理解支援のためのコードクローン履歴の可視化環境の構築,および実際のソフトウェアからのコードクローン履歴の収集と,それらの中から特に有害,無害なコードクローンの抽出と,それらのコードクローンが持つ履歴の分析を行った. 1.コードクローン履歴を容易に分析するためのGUI環境を構築した.本GUI環境はJava開発者に最もよく利用されているEclipse上で動作するプラグインとして構築されている.本GUI環境により,コードクローンがどこに存在するのかはもとより,いつ,だれが,どのような経緯でコードクローンを作成したのか,その後,どのような編集が施され,現在に至るのか,その過程を詳細に把握することが可能となる. 2.前述のコードクローン履歴閲覧環境を用いて,どのようなコードクローンが保守コストを要しているか,逆に保守工程への影響が少ないコードクローンはどのようなものかを調査した.それらの結果から,例えば機械的に一括して編集されているコードクローンは比較的保守工程に対する影響が少ないなど,コードクローン履歴のある種の特徴がコードクローンの持つ悪影響の度合いの評価に活用しうることを確認した.
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