研究概要 |
本研究の目的は,従来のカメラの位置・姿勢推定における移動および回転の変化量の制限の問題を解決することである.目的達成のために,本年度は,以下の事項(1)〜(3)を実施する予定であった.以下,各事項の実績について報告する. (1)ジェットコースターからの画像およびセンサ情報の取得 本年度は,遊園地側の許可が得られず,撮影を実施することはできなかった.代わりに来年度の5月中旬に撮影する予定であり,これに備えて撮影機材の整備を行った.具体的には,本研究の研究費により購入した耐衝撃性ストレージと高性能ノート型PCを組み合わせ,従来よりも高レートで画像取得可能な撮影システムを構築した.また,これらの効果的な使用法を確立した. (2)GPSと多眼全方位カメラを用いた3次元環境モデルの構築 高速に移動するカメラにより精細な3次元環境モデルを構築するために,動画像とGPSの測位データを用いる手法の改良を行った.実際に,市街地を自動車で走行し,同一経路を複数回撮影して得られる動画像から3次元環境モデルの構築を行った. (3)3次元環境モデルとの画像照合によるカメラの位置・姿勢推定の安定化 3次元環境モデルとの画像照合にジャイロセンサからの角速度情報を利用し,高速な回転に対してカメラ位置・姿勢の推定を安定化する手法を開発した.具体的には,角速度情報を用いることによりカメラが高速に回転する場合に生じる,(i)3次元環境モデル内の照合に必要な部分の特定に失敗する問題,(ii)入力画像に生じるモーションブラーにより画像照合が失敗する問題の2点を解決した.問題(i)に対しては,角速度情報を用いて現在のカメラの姿勢を予測し,3次元環境モデル内の照合に必要な部分を最小限に限定し,入力画像とモデルとの誤対応を防いだ.問題(ii)に対しては,角速度情報を使用して,3次元環境モデル内の画像テンプレートに入力画像と同等のモーションブラーを再現することにより,テンプレートマッチングにおける類似度の低下を防いだ.
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