近年、携帯可能な端末や無線ネットワーク技術を利用して、ユーザの位置や状況に合わせた情報を提供する試みが注目されている。これらのアプリケーションを提供するには、「誰が」「どこに」いるのかという情報は不可欠であり、連続して取得されたユーザの位置情報を解析することで新たな利便性を提供できる。本研究では、屋内無線通信によるおおまかな位置同定とビデオカメラと赤外線タグを用いた精度の高い位置同定を組み合わせ、拡張性の高い位置同定システムの実現へ向けての研究を行っている。 本年度は、2年計画の初年度として、カメラと赤外線タグを用いたロケーションシステム"ALTAIR"における、Zigbeeのデバイスを利用した小型ユーザデバイスの検討を行った。 また、これまで構築してきたシステムで使用される通常のビデオカメラの代わりに、複数部分領域高速読出しCMOSイメージセンサを用いたシステムの提案、および基礎実験を行った。このイメージセンサは、通常のフレームレート(30FPS)で撮影する通常画像と、設定した部分領域を高速度(1200FPS)に撮影する高速画像を、1台のセンサで同時に撮影可能であり、ユーザの携帯する赤外線タグの位置と、赤外線タグが発する信号に含まれるユーザ識別情報を同時に取得できる可能性を有している。今年度に行った基礎実験では、高速画像を用いて100Hz程度の赤外線タグの点滅を読み取ることが可能であることを確認している。
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