研究概要 |
運動技能の指導場面では,他者と同じように練習を行っても,なかなか運動技能の向上が認められない学習者が見受けられる。このような学習者に共通して観察される現象として,運動における「不器用さ」が指摘される。したがって,この「不器用さ」の原因を明らかにし,その改善方法を開発することが,効果的な運動技能の指導方法を考案する上で重要な課題の一つとなる。 以上のことから,本研究の目的は,運動における「不器用さ」の原因究明と改善方法を開発するための第一段階として,簡単に運動における「不器用さ」を測定することができる質問紙テストを開発し,「不器用さ」の高い者と一般人との体力や運動能力等の身体的特性における違いを明らかにすることである。 平成18年度は,運動における「不器用さ」を測定する質問紙テストの質問項目執筆・収集のための予備的調査として,体育授業やスポーツ等の運動技能の学習場面における不達成に着目し,練習してもなかなか上達しない「苦手な運動」について調査を行った。大学生を対象に質問紙と面接による調査を行った結果,苦手な運動としては,球技種目,陸上競技,器械運動,水泳など幅広い回答が得られた。また,どのような点がなぜ上手くできずに苦手なのかという理由を質問した結果,しばしば見受けられたのは,「動作のタイミングが分からない」,「動作のリズムが分からない」,「下半身の使い方が分からない」,「体が硬い」,「バランスがとれない」等の回答であった。特に,「バレーボールのスパイクにおいて,ジャンプのタイミングを合わせるのが難しい」,「ハードル走においてリズムよく跳ぶことができない」等のタイミングやリズムに関する回答が多く,これらが「不器用さ」の特徴を表す回答であると考えられた。 今後,今回の調査結果を踏まえて質問項目を作成し,質問紙テストの開発を行う予定である。
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